​目指すは千年保つと言われる紙作り

​漉き手

 縁あってこの仕事に従事するようになり15年を迎えようとしております。いつの頃からでしょうか、この仕事から「生き移す」かのような感覚を覚えるようになったのは。山で雁皮を刈り取れば、誰しもが、命を頂戴している、無駄にはできない、と思うことでしょう。生育に10年かかるといわれる雁皮は栽培に向かず、育て刈り取り紙にするというサイクルはつくれません。ではせめて千年保つと言われる紙作りをしていきたいと思いました。 

 雁皮のきらめきに泥をさせば、「鈍く光る」と表現され、名塩雁皮紙の真骨頂が生まれます。泥の色は長い年月を経て生成された非常に安定的な大地の輝きです。そのまま良質部分を切りとれば、紙にしっとりとした感覚と渋みを与えてくれます。雁皮や泥といった六甲山系の山々が育んだ自然素材をできるかぎり風合いを損なうことのないような紙作りを心がけております。 

谷徳製紙所三代目

谷野 雅信